VUCA時代に、やってはいけない8つの経営判断。

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VUCA(ブーカ)とは、Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)という4つの言葉の頭文字からつくられた用語です。先行きを予測できない状態を示しており、目まぐるしく変化する昨今の市場環境を的確に言い表しています。特にコロナ禍によってその様相がさらに深まったことに加え、日本では世界でどの国もまだ経験していない超高齢化社会へと突き進んでいます。

このようにどのような変化が今後起こり得るか予測できない状況で誤った対応をすると企業にとって命取りになりかねないと『コトラーの「予測不能時代」のマネジメント』は警告します。というのも、企業がこれまで経験してきたのは「好景気」と「不景気」の繰り返しである一方、VUCA時代では今後もどのようにその循環が必ずしも起こるとは限らないからです。

では、どのような点がその”誤った対応”になるのか、以下で解説してきたいと思います。

乱気流を乗り切るためにやってはいけない8つのこと。

これまでの景気後退局面では、(極論を言えば)企業は経費を抑えて嵐が過ぎるのを待てば再び景気拡大局面を迎えることができました。しかし、昨今では嵐が本当に収まるかどうかがわからないことに加え、嵐が収まったときには自社の市場や顧客をごっそりと他社に奪い去られてしまっていた…ということが珍しくありません。本書の言葉を引用すると

カオスには、今どのような状況であろうと、そこに機会を見出す企業に有利に働く傾向がある

からです。方やで多くの企業が、乱気流に見舞われたときに誤った対応をしてしまいがちなのだといいます。それが、以下に挙げる8つの点です。

【1】コア戦略と企業文化を損なうような資産配分
【2】全社一律の経費削減
【3】目先のキャッシュ確保のための人材使い捨て
【4】マーケティング、ブランド、新製品開発の各経費の削減
【5】売上減少を挽回するための値引き
【6】顧客から離れるような販売関連費の削減
【7】研修や能力開発など社員教育費用の削減
【8】仕入れ先や販売業者の軽視

それでは、以下では各項目について細かく解説していきます。

【1】コア戦略と企業文化を損なうような資産配分

景気が厳しい経済環境化にあっては、トップは難しい判断を迫られるものです。しかも、その判断が業績のみならず、企業文化や価値観にまで影響を及ぼすことが少なくありません。VUCA時代には、一つの決断が企業価値を損ない、顧客離れを引き起こしてしまうこともあり得ます。

たとえば、それまでコンサルティングとも呼べるほど丁寧な接客が勝ちとなっていた小売企業において、効率化の名のもとに接客が簡素化され、売上重視のオペレーションに変更されたことで差別化要因がなくなり、顧客離れが加速してしまったケースもあります。効率化や経費削減は大切ですが、その手段が企業の独自性や企業文化、価値を損なわないものであることが極めて重要なのです。

【2】全社一律の経費削減

経費削減は、不景気時において企業がまっさきにとるべき課題ではあります。ただ、何でもかんでも一律に経費を削減する…という考えには慎重になるべきです。経費を削減する上で、自社の業績データを丹念に分析し、他社より優位に立とうとすることが重要です。経費削減がその企業の計画や業績が改善する方向性を向いていなければ、結果として競争優位性を失うことになります。そのため、計画性を持って、目的を明確化させた上で経費削減に着手し、自社の価値を損なわないようにすることが求められるのです。そうでなければ、景気が回復した局面で、元の状態に戻すのに余計なコストを払うことになったり、市場における立ち位置を失ったりする状況に陥ってしまうでしょう。

【3】目先のキャッシュ確保のための人材使い捨て

人件費の削減も、厳しい経済環境の中で多くの企業が取る施策です。ただ、本書でははっきりと「一律の人材削減はどんなときでも誤りである」と述べられています。なぜなら、”人材はイノベーションにおける唯一最重要の不確定要素”だと考えられているからです。多くの企業が景気後退局面に流出した優秀人材を引き抜こうと虎視眈々と狙うものなのです。

また、景気拡大局面において、多くの企業にとって不足している資産は人材です。つい最近まで人材市場は人手不足の売り手市場だったことは、記憶に新しいはずです。「人が足りなくて事業拡大に舵をきれない」と悩む経営者も少なくありませんでした。そこで発生した損失は、目に見える額以上のものになっている場合は少なくないのです。

【4】マーケティング、ブランド、新製品開発の各経費の削減

経費削減において、マーケティング費用や新製品開発などにかかる費用を抑えようと考える企業は少なくありません。しかし、そのような行動は、市場におけるプレゼンスを大きくする余地を他社に与えてしまう結果につながります。逆に言えば、他社がマーケティングや製品開発費を削減している中で積極的に投資している企業は、その後も市場で不動の立ち位置を築いているケースが少なくありません。

【5】売上減少を挽回するための値引き

価格設定は、企業がもっとも気をつけなければならないことの一つです。特に景気が下向きで売上も減少傾向にあるとき、安易に値下げという選択を取ることで身動きが取れなくなるケースがあります。値下げは利益を損なう行為であり、10%を値下げした場合同じ利益を維持するには販売数を50%増加させなければならなくなります。そのため、

企業が「その場しのぎ」の解決策に頼り、長期展望に基づいて付加価値をつけることをしなければ、ほぼ確実に失敗する
※『コトラーの「予測不能時代」のマネジメント』83頁より引用

と本書でも述べられています。値下げという判断を下す前に、顧客に満足してもらい、再び自社の商品・サービスを利用してもらえるためには何をすべきかを考えることが重要です。

【6】顧客から離れるような販売関連費の削減

不景気時には、顧客管理の見直しが重要になります。なかでも、「収益をもたらす上顧客」と「そうでない顧客」を分け、前者に対しての投資を集中させることが必要です。多くの企業でひとにぎりの顧客が全売上に対して高い割合を占めています。そのような顧客は、「価格が安いから」といった理由ではなく、「ブランドの信頼性」「愛着」といった点で購入を決めている可能性が高いです。方やでそうでない顧客の場合は「お買い得だから」という理由で購入している可能性が高く、よりお買い得な代替品があればそちらに簡単に心変わりしてしまいます。後者に対する投資をすべてなくした方がいいといった暴論は履きませんが、前者に対する投資のほうがはるかに効率的です。むしろこのような上顧客への投資まで一律でカットしてしまうと、市場でのシェアを大きく失ってしまうことになるのです。

【7】研修や能力開発など社員教育費用の削減

目の前の業績を改善する上で、社員教育への投資は相対的に優先順位が低くなりがちです。社員教育は業績に影響するだけでなく、自社の弱みを改善する機会にもなるはずです。むしろ、教育によって社員が常に最先端のスキルを身につけ続けることができ、他社に対する優位性にもつながります。社員のレベルが上がらなければステークホルダーとしての価値を失いかねず、社員教育への投資を積極的に行なうライバル企業に、自社の優秀な人材を奪われることにもなりかねません。

【8】仕入れ先や販売業者の軽視

仕入れ先や販売業者の重要性を理解していない企業は、実はコスト高に陥ってる可能性が高いです。先行きが不透明で自社の業績を回復させる必要があるときほど、優良な仕入れ先・販売業者すべてに関わってもらい、企業活動の一員になってもらうことが重要なのです。

そして大切なのは、一貫性です。好景気と不景気で態度がコロっと変わるようでは、仕入先や販売業者から信用を得られず協力関係は築けません。取引先の重要性を理解し、普段からパートナーシップを築くことが不透明な時代を乗りきるポイントになり得るのです。

経営判断の精度をより高める、右腕の存在が必要です。

このような経営判断は非常に難しいものであり、経営者ひとりで判断することは大きな重責です。そこで、その判断をある程度委ねたり、相談したりできる相手を社内に迎え入れることは、企業としての底力を高めることになります。

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