企業の後継者不足の実態に迫る。事業承継問題の現状と課題。

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近年、中小企業や個人事業主を中心に、廃業の大きな理由になっている「後継者不足」。具体的にどのような問題なのかについて解説します。また、後継者不足が起こる原因やその主な対策についても紹介していきます。

後継者不足は、確かに現在の経営者にとっては難しい課題ですが、経営者のポストを目指している人にとっては大きなチャンスでもあるのです。なぜチャンスなのか、それを成功させるためにはどうしたらいいのかなども併せて紹介していきます。

後継者不足とは?まずは実態について解説。

 後継者不足とはどのような問題か、原因は何か、そのために企業が行っている主な対策についてまずはおさらいしていきます。

事業承継と事業継承の違いは?

インターネット上には「承継」「継承」の2つの表記がありますが、基本的にほとんど違いはありません。公的な補助金の名称などについて、中小企業庁は「承継」を用いているため、こちらのほうが一般的ではあります。

この記事内でも「承継」と表記しています。

後継者不足は企業経営にもある

 後継者不足は、伝統工業や農業、それに職人の世界などの特定の業界だけの問題だと思われやすいのですが、実はそうではありません。企業経営においても起こっています。

後継者不足とは、企業の次の経営者が見つからない状態のことです。中小企業や個人事業主で特に増加しており、帝国データバンクの「全国企業「後継者不在率」動向調査(2021年)」によると、後継者不在の企業は全国で61.5%にのぼります。

また、事業の業績そのものが安定していても、後継者が見つからないために廃業を選ぶ企業は年々増加しています。

後継者不足が特に深刻なのは、中小企業や個人事業主、そして地方を拠点にして事業を行っている企業です。後継者不足は国内全体の経済に大きな影響を及ぼします。

事業承継

日本は全企業の99%以上を中小企業が占めており、世界有数の技術や特許を持つ企業も多くあります。そのため、中小企業の廃業がこのまま増え続けると、社会全体が大きな打撃を被ります。また、地方を拠点にしている企業はそのエリアの経済や雇用を支える存在ですが、それも失われてしまいます。

そういった背景から、国や自治体は後継者不足に対して様々な対策を行っています。

 後継者不足はなぜ起こる?

 後継者不足が起きる原因は何なのか、大きな原因4点について解説していきます。

(1)親族承継が一般的ではなくなった

以前は、特に中小企業の経営者は事業の後継者として自分の子どもを選ぶことが一般的でした。

ですが、現在は価値観が多様化し、「家業を継ぐのは当然」という考え方は常識ではなくなっています。子どもは会社経営以外の働き方をしたいと考え、経営者である親も承継にまつわるトラブル等を避けるために、親族には引き継がせたくないと考えるようになっています。

 (2)経営者の高齢化と少子両方

少子化によって、若手社員の採用はどの企業にとっても非常に大きな課題となっています。次世代の働き手の獲得そのものが難しいため、事業の将来に対しても肯定的になれず、継続するよりも廃業しようと考える経営者が増えています。

(3)事業の将来に不安がある

近年あまりにもビジネスのトレンドの移り変わりが早く、事業の先行きがまったく予測できないと考えている経営者は大勢います。そのため、現時点で業績が黒字であっても自分の代で廃業しようと考えるのです。そこへ新型コロナウイルスの影響など想像もしていなかった社会情勢が重なり、廃業率はさらに高くなると考えられています。

(4)経営者になる人材を育てられない

従業員への事業承継も、年々減ってきている方法です。

まず、経営者にふさわしい人材が社内に必ずいるとは限りません。仮にいたとしても、事業を承継するためには多くの教育や引継ぎが必要になります。引退前にようやく教育を始めるのでは遅いとわかっていても、経営者はふだん業務で忙しく、なかなかそのための時間が取れません。

後継者 育成

次に、終身雇用制度が崩壊して人材が流動的になったため、新卒も中途も「キャリアや生き方に合わせて転職するかもしれない」とごく当然のように考えています。その価値観が少し難しいものがあります。

そして、少子化によって若手社員がどの企業でも減り、採用にも非常に苦労しています。一般の社員の採用も大変だというのに、その中から経営者の資質を持つ人材を選ぶのはかなり困難でしょう。

事業承継と「真の経営者のニーズ」

 事業承継は、企業の経営を後継者に引き継ぐことです。事業に必要な経営資産のすべてを後継者へ承継することを指し、単なる「経営者の交代」とは異なります。

事業は、大きく分けて「人(経営)」「資産」「知的資産」の3つで構成されます。

・人(経営)…経営権
・資産…株式、事業用資産、資金など
・知的資産…人材、技術、ノウハウ、特許やブランドなどの知的財産

経営者の多くは単に経営権を交代するだけではなく、これらの経営資産を丸ごと承継したいと考えています。それが多くの経営者の真のニーズです。

経営者が交代することも重大ですが、それだけであれば長くかかりませんし、対策はたくさんあります。ですが、経営者たちのニーズのように事業をすべて次世代に引き継ぐとなると、後継者選びは一気に難しくなります。これらの承継には時間も手間もかかるため、長い時間をかけて後継者を育成する必要があります。それが後継者不足の根深い原因になっています。

後継者不足の対策・解決策4点

後継者不足に対し、企業が行っている主な対策や解決策について紹介していきます。

(1)事業承継のコンサルタントに依頼

事業譲渡や株式譲渡などのM&Aを実施して事業承継を行うことで、後継者不足による廃業を免れられます。M&Aの買収側の経営陣が事業を引き継ぐため、従業員の雇用も継続できることが大きなメリットでしょう。

(2)子どもや親族、従業員に承継

これまではよく行われてきた事業承継の方法です。近くにいるため教育しやすい点がメリットでしょう。資質があればとても効率的に承継できます。

(3)外部から経営者ポストの人材を雇う

以前は大企業や外資系中心の方法でしたが、近年だんだんとそれ以外の業界にも広がりつつあります。この場合はまず経営幹部として採用し、その後昇進して経営者となるケースが一般的です。

(4)廃業

後継者不足の解決法はここで紹介している対策以外にもありますが、そのいずれも適していない場合は廃業することになります。経営者はそれにより、従業員を解雇し、事業用資産や取引先、ブランドなどもすべて失います。

「事業承継・引継ぎ補助金」

https://jsh.go.jp/r3/

事業承継やM&Aなどの方法で事業を後継者に引き継ぎ、経営革新するための支援を行う補助金です。廃業にかかった費用も対象になります。該当するのは中小企業者や小規模事業者です。審査があり、それに通らないと受給できませんが、手段の1つとして活用したい制度です。

 経営者へのキャリアパス

 後継者不足は、経営者を目指している人にとってはチャンスにもなり得ます。それはなぜなのかについて、経営者になるための他の2つの方法と比較しながら説明します。

 経営者ポストへの転職のチャンス

 後継者不足は確かに現経営者にとっては大きな悩みですが、これから経営者になろうと考えている人にとってはまた異なる一面があります。外部から経営者ポストへ転職するという、新たな「キャリアのチャンス」があるのです。

外部から経営者や経営幹部を採用する方法は、以前は社内からの反発が非常に大きかったためにほとんど使われませんでした。それに比べて子どもや親族への事業承継は社内から受け入れやすかったこともあり、主な手段として選ばれてきました。

ですが、最近は外部からの人材採用に対してそれほど否定的ではなくなってきています。親族承継を経営者も親族も不安に感じていることや、終身雇用の崩壊によって転職が一般的になったことなども背景になっています。

 転職以外の2つのキャリアパス

 経営者になるためには、外部からの転職以外にどのようなキャリアパスがあるか、主な2点を紹介します。

 (1)企業の中で昇格する

 メリットは、失業や転職のリスクなしに経営者を目指せる点です。他の方法のように、生活を心配する必要はほとんどないと言ってよいでしょう。また、仮に経営者にはなれなかったとしても、現在の勤務先で何かしらの役職に就き、活躍を続けられる可能性が高い方法です。

転職 アドバイス

デメリットは、実際に経営者になれるまでに非常に時間がかかる上、可能性がかなり低い点です。

現在の経営者が親族承継やM&Aなどを選ぶかもしれません。仮に従業員へ事業承継するつもりだとしても、他のライバルよりも素質があると認めてもらえるか、そして経営者教育を経て本当に承継してもらえるかなど様々な問題があります。また、実現しなかった場合は他の手段に比べて大幅なタイムロスになります。

 (2)創業する

 大きなメリットは、自分のビジネスモデルを試せることです。ポストへの転職や昇進はある程度これまでの社風や企業戦略を踏まえる必要がありますが、起業する場合はそれらもすべて自分で設定できます。とてもやりがいがあるでしょう。また、国や地域からの新規事業の助成金も増えており、以前よりも挑戦しやすくなっています。

デメリットは、リスクの大きさです。事業がうまくいかなかった場合は、失業した上に借金が残る場合もあります。それ以外に、従業員を雇う責任の重さがすべて自分ひとりにかかる点です。たとえ従業員が少数でもそれは変わりません。

そしてもう1つは、やらなければならないことがとても多い点です。特に最初のうちは、事業そのものだけではなく、資金繰りから事務手続きまであらゆることを1人で行う必要があるでしょう。

経営者ポストに転職するためには

 外部から経営者のポストに転職するためにはどうすれば最も効率がよく成功しやすいのか、具体的なながれや手順について紹介します。

 経営幹部に特化した転職エージェント

 外部から経営者のポストに登用される場合、まずは経営幹部(ハイクラス)として入社し、その後昇進するパターンが多いでしょう。その転職活動の際には、転職エージェント(人材紹介)の利用がお勧めです。

転職エージェントが経営幹部への転職に適しているのは、これらの求人の大半が非公開のためです。転職サイトで公開されていることはほとんどありません。

30代 転職

経営幹部以上の求人や採用活動は、競合会社も見張っています。分析のプロであれば、そういった部分からも相手の動向や企業戦略がわかります。そのため、どの企業も経営幹部の採用は内密に行います。転職エージェントはそれに最適です。

実際に利用する際は、経営幹部の転職に特化している転職エージェントを選ぶようにして下さい。このようなエージェントは事業承継の案件なども取り扱っており、幅広い選択肢があります。また、選考にはどのような前準備が必要といった情報も豊富なため、効率的に転職活動を進められます。

 事業承継の案件もある経営幹部層の「エン社長候補」

 後継者不足は、企業がその後継者を見つけられない問題のことです。たとえ業績が安定している場合でも、次の経営者がいないために廃業を選ぶ中小企業や地方の企業が年々増加しています。以前は一般的だった子への承継が次第に行われなくなってきたことなども背景になっています。

ですが、これから経営者のポストを目指す人にとっては大きなチャンスにもなり得ます。後継者不足の対策として、企業は外部から人材を採用することが増えたからです。

経営者になるためには、他に「起業」や「勤務先企業での昇進」の2つの手段があります。ですが、起業はとてもリスクが高く、昇進は時間がかかる上に可能性も低めです。

ゆくゆくは事業承継するためにまず経営幹部として採用する企業は、次第に増えています。そういった求人はほとんど非公開で行われるため、そのクラスに特化した転職エージェントを最初から利用することをお勧めします。

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